Governance関連
Governanceにおける教育・研究目標
世界経済のグローバル化が急速に進展する中、新たな市場アクセスを獲得し、グローバル化の便益を享受する国や企業などの生産主体がある一方で、比較優位のない産業に従事する労働者や生産者には、様々な負の影響が生じています。例えば、農業生産に比較優位のない農産物輸入国において農業従事者は、輸入される安価な農産物との競争に晒されることとなり、生産者が生産を持続させ多様で地域に根ざした食資源を供給する機会が脅かされる可能性があります。歴史的にも、植民地統治や国際政治経済の秩序により、また国家による農業政策や土地改革、集団化などにより、開発途上国の小農が周縁化した現象に対しての考察・検証も重要となります。こうした現象は、国の経済発展段階に関わりなく生じます。ガバナンスユニットの研究・教育においては、これらの影響を被ると予想される経済主体を対象に、グローバル化による影響を様々な視点から調査・分析します。具体的には、ローカル・ノレッジを尊重し、地域住民の合意形成と自治による地域組織の強化と、一次産業従事者の持続的生産に貢献するボトムアップの政策提言、農・水産物などの地域資源を活用したブランド化戦略、食に景観や文化をプラスして発信することによる第一次産品の高付加価値化、農産物をはじめとする国際商品市場と国内・地域市場における価格変動の分析に供する統計モデルの開発と応用などです。ガバナンスユニットの研究の目的は、小農や小規模沿岸漁業者、小企業の労働者の所得や生活、幸福度(happiness)の変化に注目しながら調査・研究を進め、彼らの福祉(well-being)や厚生(welfare)の向上に向けて課題解決に寄与することとし、これらに貢献できる人材を育成します。
国際食資源学院で行う教育のもととなる研究は、主に北海道大学大学院農学研究院食水土資源グローバルセンターにて行います。